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旅スケッチ

国東半島

​2006年9月28日・29日

さわやかな秋晴れ。岸壁で釣りをしている人がいる。朝、7時、徳山港発のスオーナダフェリー、「ニューくにさき」にて大分県国東半島へ向けて、出発。所要時間2時間。ちょうどいい。この航路で行くのははじめてだ。わくわくする。船はいつのまにやら岸壁を離れて、青い海の上をすべり出した。

 

 

 

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出港から一時間半、国東半島の手前にある姫島の横を通過。朝日が海面にきらきらして美しい。であるから、この旅はうまくいっている。あと少しで着岸だ。国東半島がごつごつした山並みを見せている。

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今回のスケッチのターゲットは、石仏や木彫仏だ。くにさきには、千年以上の歴史を持つ、仏教文化の痕跡が多々ある。かなり野太い石仏群が、私を呼んでいる。「おいで、おいで・・・」と。そして前回果たせなかった名水汲みです。
 竹田津港に上陸し、近くの本屋さんで、大分県地図のくわしいものを入手。一ヶ月少し前に、なにげなくはじめて国東に行った。そのときは行橋での作品展の空き時間を利用して、車で来た。コンビニで買った、おおざっぱなマップつきのガイドブックをたよりに、くにさきを巡ったが、いやあ予想以上に山深くくねくねした道と、突然の通行止めと、地図に載っていない道に惑わされた。だから、詳しい道路地図がないことには話にならん世界である。

とはいえ、実をいうと第一目的地は夷谷(えびすだに)温泉だった。前回は横目でちらっと見て、別の温泉地をめざした。ので、心残りがあったので。夷谷をめざす途中で、あたりの風景に車が止まった。彼岸花、あぜ道、黄金の稲穂・・・。実を言うと、フランスの旅スケッチ以降、あまりにどこでもすてきな絵になりそうなフランスの風景に圧倒されて、日本の風景がいかに見劣りするか、ということで、スケッチ欲が起こらないで真剣に困っていた。いったいなにを描いたらいいのか、昔は自分はなにを描ていたろうか、昔の日本の画人達はなにを描いていたろうか、こんなことばかり考えていた。ところが、この稲穂の黄金と真っ赤な彼岸花の風景をみていたら、もうスケッチを始めていた。これはニッポンの風景だ。フランスのように広々とはしていないけど、これはこれでいきいきしている。

 

 

 

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これは真木大堂(まきおおどう)近くの黄金。家のまわりに、柿の木が植わっている。こちらも実りに近い。やっぱり、日本の秋の風景には、民家と柿の木がとってもよく似合う。

 

 

 

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 28日は黄金に目がくらんで、予定の石仏までたどりつけず、今夜の宿である横岳自然の家へ。ここは面白かった。この日は宿泊者は私一人だったが、ゆったりした管理人のおじさんと、創作料理の達人の秦さんと、ユニークでおいしい料理を食しながら、くにさきのみどころと、大ヒット中の「豊後くにさきお宝めし」の誕生秘話などの話で盛り上がりました。「豊後くにさきお宝めし」とは、・・・。ひらたく言えば、五色の豆など、くにさきのめぐみの豆をたっぷりたきこんだ豆ごはん。赤、みどり、黒など、宝石箱のようなかわいらしさ、美しさ。豆のしゃきっとした食感と健康感がとってもおいしい。通販でも販売しているそうです。

 

 

 

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29日は、お宝めしを弁当に背負って、熊野磨崖仏をめざす。駐車場について、目の前の奇岩の山に目をうばわれ、これをスケッチ。くにさきには火山の名残の奇岩があちこち見られる。石を使った彫刻が多いのももっともだ。

 

 

 

鬼が一晩で築いたというかなり荒っぽい石段を、画板とお宝めしを背負って、杖つきながら、息を切らしながらのぼること15分。左手に高さ6メートルもあろうかという、不動明王が現れる。こんなおおきな不動さんは初めて見る。下から見上げる。昨日汲んだ、清水寺の名水でのどを潤す。なんだかなつかしい、ユーモラスなおおらかな表情がとってもいい。片眼はかっと見開き、天を、片眼は地を向く天地眼。きばもそれぞれ天地を向いてくちびるをきっと噛んでいる。好きだな、この雰囲気、この表情。きびしいだけじゃなく、あたたかい。これを彫ったいにしえの仏師に会って話しがしたいな。

 

 

 

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こちらは、右隣に彫ってある大日如来。不動さんより、なぜか小さい。とはいえ、顔だけで2メートル以上ありそう。

 

 

 

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その他にも、道ばたに何気なく立ててある石をよく見ると、仏さんや不動さんが彫ってある。苔むしたり、かなり風化しつつあるものもあるけど、わたしには造られた当初の表情は読み取れる。どことなくユーモラスで、素朴で飾り気のない、人々の心というものを感じます。気に入ったな、くにさき。また来るよ。その他にも、道ばたに何気なく立ててある石をよく見ると、仏さんや不動さんが彫ってある。苔むしたり、かなり風化しつつあるものもあるけど、わたしには造られた当初の表情は読み取れる。どことなくユーモラスで、素朴で飾り気のない、人々の心というものを感じます。気に入ったな、くにさき。また来るよ。

 

 

 

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