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旅スケッチ

​08イタリヤ1

2008年7月、初めてイタリヤヘ行きました。ツアーに参加しました。
 北のミラノから中央のローマに向かって南下しながら、見どころを見て回るという、ベイシックなコースに乗りました。

ミラノ

 2008年7月16日、夜、ミラノに着きました。満月でした。幸先いい。美術の教科書で習ったルネッサンスの巨匠たちが、歩いた街です。わくわくです。明日から観光開始です。さっそくではありますが、個人的に今回の最大の見学先と思って楽しみにしていた、レオナルドの「最後の晩餐」は入場予約とれませんでした、とのことです。がっくりです。また来るしかない。もう寝ます。

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ベネツィア・サンマルコ寺院

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朝です。晴れです。いい青空です。幸先いい。まずは、レオナルドも17年住んでいたという、スフォルツェスコ城の前に来ました。現地ガイドが歴史を説明をしてくれます。そして、「スフォルツェスコ城。ちゃんと言えますか?」な、なに?すお、すふぉる?な、なに?すふぉるちぇ?・・・。
 続いて、ドゥオモです。各地区の司祭さまがおられる教会をドゥオモというらしいです。これはミラノのドゥオモです。すごいです。ゴシック様式のとげとげしい印象です。どの柱の先端にも聖者さまが立って街を見下ろしています。スケッチする人の首が痛いです。

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翌日。ベネツィア、世界文化遺産・・・必ず絵になるところだろう、とわくわくしながらやってきました。ばんばん描くぞ、と意気込んで乗り込んできました。でも今回は、4時間程度しか滞在できません。その間に、ツアーどおり、ゴンドラにも乗りたいです。ベネツィアガラスの工房も見学したいです。イカスミパスタも食べたいです。世界から観光客が押し寄せてきています。迷子になるわけにもいきません。おまけに雨です。「私のツアーグループではベネツィアで雨になった事はありません」という添乗員実績に、全員すがる思いでしたが、今回は通じなかったようです。雨中のゴンドラとなりました。でもこれも、またとない体験。しっぽり濡れて水路をゆく。そしてサンマルコ寺院の中も良かったです。千年前と変わらぬいい雰囲気です。どこからかグレゴリア聖歌が聴こえてきそう。
 広いサンマルコ広場を横切って、迷路のかたすみにあるトイレから、集合場所にもどる間に、雨の中歩きながら、ボールペンで描いたそのサンマルコ寺院の一枚が、ベネツィア唯一のスケッチとなりました。リヤルト橋も見れませんでしたので、また来るしかない。さすが見どころ多い街です。すごいな、妙に感心しました。

ピサの斜塔

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翌日は快晴となり、以後はずっと、雨具の必要のない旅でした。ガリレオ・ガリレイの実験で有名なピサ寺院です。世界文化遺産です。美しい白亜の教会です。洗礼堂のドームの中での音の反響がよく、一人で三、四人分の合唱ができます。朝一番の入場でしたので、実演がありました。美しい響きでした。感動しました。     
 さて、注目の斜塔ですが、一言で言って、予想以上に、驚くほど、傾いていました。美しい塔ですが、いつ倒れてもおかしくないように見えます。写真でも何度か見ていたものの、かなりの傾き感がありました。周りを見ればあちこちで、斜塔を支えたポーズや、押してるポーズや、手のひらに載せてるポーズなど、写真タイムです。どこの国の人だか知りませんが、やってることや考えていることが全く同じということは、かなり微笑ましい平和です。世界平和はピサにあり。
 とはいえ、ここピサの境内に入るまでの細い通りは、スリの横行する通りです。幸いにも、われわれのツアーには被害はありませんでした。イヤホンガイドで、添乗員の注意を聞きながら、慎重に通り抜けます。以前来たことのある人も、情報を提供してくれました。特にジプシーの女たちです、スリで生計を立てている家族です。前回は、妊娠中だったが、いまは生まれているだろう、とか、上の子も大きくなってるはず・・、などと詳しい情報が観光前に提供されています。そして・・・、いました。たしかに。イヤホンガイドで添乗員が注意を呼びかけます。ちょっと戦慄の瞬間です。みんなバッグをお腹の前に回し、チャックを片腕で押さえています。私といえば、このスリ女の顔を写真に撮っておこう、などと思ったりもしてましたが、撮りませんでした。というより、いざとなると撮りたくありませんでした。すごい形相で団体のなかの子羊をねらっています。執念のかたまりの顔です。美しくはありません。当然です。変な念がカメラについてはごめんだ、と思いました。

シェナ・カンポ広場

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世界文化遺産のカンポ広場です。世界一美しい広場ということで有名です。たかが広場が?と半信半疑でしたが、確かに、まわりの建物も力強く美しいし、歴史と人々の誇りも感じられます。なにより、広場が平べったい平面ではないことに、意外な驚きがありました。北から南へ高低差にして5メートルくらいはあるように思いました。全体的にはやや扇形をしています。窪地をうまく利用しています。
 外国の(ここではわれわれが外国の人ですが、)観光客は、やや傾斜のある広場に寝そべって、全身でカンポ広場との一体感を味わっています。私は、ジェラートでイタリヤを味わいました。こちらではじめてのジェラートです。それにしても空が青い。イタリヤ半島を、地中海から地中海へ抜けていく風を感じます。
 ここカンポ広場の周辺部に砂を敷き詰めて、パリオという競馬が毎年行われます。裸馬に乗ります。もともとは周辺地域との闘争から街を守るための勇猛な兵士を養成する目的で始まったものですが、今ではシェナの人々の熱狂的行事でもあります。広場の中ほどには3万人収容できるとか・・・。動物をトレードマークとしてシェナの街は十いくつかの地区に分かれています。馬と騎手は何日も前からレースに備えます。騎手が落馬しても、つまり馬だけでも先頭でゴールすればその地区の優勝となるそうです。(ちょっと笑えます。かなり激しいレースのようですが、微笑ましいです)。なお今回の優勝チームは、ヤマアラシチームでした。速そうなヤマアラシ地区の旗と、英雄となった騎手の顔写真があちこちに貼ってあります。かなりのハンサムです。

​ポンペイ

ポンペイはナポリの近郊にある、ベスビオ火山の噴火によって、数日にして消滅してしまった古代ローマ時代の都市の遺跡です。今から二千年も前の都市の姿です。社会の教科書などに載っていましたし、ぜひ訪れたいと思っていました。亡くなった人や動物の形の空洞に、流した石膏によって、その形がありありと残っていることでも有名です。通りの石畳に当時の馬車のわだちがはっきり残っています。角を曲がると、そこにいにしえのポンペイ人が・・・。そんな幻も、現実のように感じられるほどで、じーんときます。
 街の入り口の大きな石造りの門を抜けて、最初に出たひろびろしたところはアポロ神殿です。

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続いて出てくる大きな広場はまさにポンペイの市民の広場でした。どちらからも正面遠くにベスビオ山が見えます。これが噴火して、街全体は数メートルもの火山灰にうずもれるとは・・・。ここから見るベスビオ山は、形は富士山に似ていますが、頂上近くは赤い地色をしており、草木も生えておりません。来る途中、バスからも、側面には溶岩が流れた痕がみえました。火山であることが容易に察せられます。
 ポンペイでは医療としての優れた浴場の設備もみることが出来ます。湯の風呂、水の風呂、蒸気の風呂・・・さすがローマ時代です。建築技術はさすがでした。

セーヌ河風景

そしていよいよローマ市内見物です。映画「ローマの休日」の有名どころは、当然のごとくかけ足ツアーで回ります。スケッチの時間はとれません。だが、コロッセウムには驚きました。今回見た建築物のなかではこれが最大級の・・・。こんなに大きなものとは思わなかった。創建当時は、今は部分的に無い第四層部分も全てあった、というからその巨大さには驚かされる。しかも、見えない地中16メートルから、主な柱の土台が埋めてあるという。えっきー感動しました。石組みも、教科書で見たより断然美しいし、幅広だし、力強い。いい建物です。味わえます。今回は、内部の見学はなかったが、必ずや、入って見たい。きっとそこには、二千年前の人々の熱狂や、兵士たちの血や汗や猛獣たちの咆哮が響きわたっているにちがいない。また来るしかない。

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ノートルダム寺院

今回の唯一のオプショナルツアーにて、またまた驚きと感動の風景に出会いました。ローマから100キロ北西にある田舎町、チヴィタ・ディ・バーニョレージョです。欧米人はよく行くが、日本人にはまだ知名度が高くないのか、訪ねる人もまだ少ないらしいです。前情報として、村人20人の天空の村、とあります。険しい山奥の奥地の村かと予想してましたが、かなり違いました。大型バスを降りてしばらく歩きますと、突然視界の開けたところにきました。かなり広い盆地のまっただ中に、ぽつんとある高い丘の、てっぺんのわずかな台地に教会、集落、お店など、ありました。まさに「天空の城ラピュタ」です。忽然と存在している感じです。ちょっと急な坂道を登って入場門にたどり着きます。ちょうど、鐘楼から軽やかな鐘の音が響いてきました。12時です。普通に人々が暮らしています。不揃いの石を見事に組んだ民家の、ベランダ状の畑には柿の木も、今は青い実をつけています。チシャなど日本でよくみる野菜も植えてあります。ただし、見晴らしだけは全く異なりました。下は断崖、遠くに、対岸のように、山肌と集落が見えます。絶景です。朝起きたら、自分の家は空に浮かんでた・・・。そんな表現が現実に起きる村でした。いやー驚きました。

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