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旅スケッチ

06インド2

エローラの続き

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 エローラ第16窟はずば抜けて見どころ多かったですが、第21窟にも、とっても魅力的な像がある。(上)はその正面入り口。天然の岩肌の下に、人工の洞窟。洞窟の正面にヒンズー教では最も神聖視されている動物、牛のナンディ像が洞窟の方向をむいて座っている。インドではよく見る、コブのある牛(セブ牛)。全体の中で計算されて彫り残してあるわけです。この削りだして残していく技法でエローラのすべての建造物が現されているのがすごい。削りすぎたら、もとには戻らない。よく失敗しないもんだな。見上げるとインドの青空がまぶしい。12月というのに、屋外にいるとやや汗ばむくらい。だが、暑すぎてまぶしすぎてどうにも我慢ならんということはなくて、快調にスケッチできました。

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 ここの踊るシヴァ神特に良い(右)。まずきれい。動きがしなやか。絵では十分にとらえてないが、かすかに微笑んだ落ち着いた顔の表情に優雅さが漂っている。またもう一度描きにに行かなくてはと思う。このシヴァ神の右膝のあたりに笛吹きの楽士たちがいた(左)。これがまた生き生きと笛を吹いていて好きな像だ。こういう場面は、日本の仏画でも、天上の楽士や天女として、ブッダの周囲に描かれていることが多いが、やっぱりルーツはこちらだ。

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 柱に彫られている水波の文様。とてもリアルで生き生きしている。ここは山の中なのに、大海の大波小波がぶつかって飛沫の飛び散る音まで聞こえてくるようでした。巴紋やインヤン(陰陽)の紋がみてとれる。これもまさしく宇宙の真理を現している。いつまで見ても飽きない。

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 一般的にシヴァ神やブッダなどは、他の登場人物より、大きく作られている。言い換えれば、他の像は主役をひきたてるために、小さく作られている。一目瞭然だ。だが、これら脇役がなかなか生き生きとしてて、愛嬌があって、時には主役よりも、個人的に好きになってしまって、持って帰りたくなるようだった。かなり小太り、短足、ずんどうだったりするんだけれど。(左)の牛くんなんかほんとかわいかった。(下)の力士も、主人を守るんだ、というけなげな情熱を感じる。昔の彫刻家の作とはいえ、できればこの作家に会って話がしたい。きっと楽しい会話ができるんじゃないかな。

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 第22窟の入り口の前から、外の風景を見た。バナナの樹や、熱帯の植物の畑など見える。はるかかなたの大地が青くかすんで美しい。

エローラ第30~34窟は、ジャイナ教の寺院である。ジャイナ教は、仏教より以前の宗教で、マハヴィーラを開祖としている。不殺生の戒律を守り、歩くときも、アリを踏まないよう注意して歩くほど。現在では仏教もジャイナ教もヒンズー教に押されて、全人口の1%に満たない。
 エローラの入り口から一番離れているので、わりと静か。しかし彫刻はどれもすばらしい。かなり厳しい戒律であったと聞くが、彫刻はなかなかおおらかで健康的。
 インドではゾウの彫刻は多く、どれもその威厳、その風格、その賢明さをよくあらわしているが、下の絵は、第32窟に入ってすぐ目にする立派なゾウ。ほぼ実物大で、しかも台座の上に載っているので、こちらは見上げる感じ。草を長い鼻で巻き込もうとしているところや、その鼻の柔らかくも弾力ある質感、頭蓋骨の存在感など見事に現しきっていて、驚きました。これ、石?と思うくらい生きていた。うーーーん、好きだなこのゾウ。

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 マハヴィーラ(下)と、その周囲を飛ぶ天人天女たち(右)

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 いたるところにゾウが彫ってある。壁、てすり、石段の踊り場、など。左のは、高さ50センチくらいのかわいいゾウ。スケッチしていたら、「ゾウの左上に見えるのは、冥想するマハヴィーラのマークだよ」と、管理のおじいさんが教えてくれたので、それも描き込みました。

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ゾウに座ったインディラという男性像と、ライオンに座ったインディラヤーニ(髪の毛の結い方に決まりがあるらしい)という女性像が、向かい合わせにあるのが特徴。ここの女性像の豊満な胸は今も昔も男性の憧れで、何百年にわたってさわっていくので、ここのところは特に黒光りして輝いている。すてきです。

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ここでも、脇役のようなライオンや樹木の表現がとてもすばらしい。とくにジャイナ教の寺院のライオンは、どれもこれもすてきでかわいい。日本の獅子舞の獅子頭の原型は、これです。何度見ても飽きない。生命力とユーモアと人なつっこさを備えている、と思います。

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