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トルコ3・カッパドキア編

カッパドキアは奇岩で有名。どんな奇岩が待っているやら、などと思いながら、イスタンブールから夜行列車に乗り込み、さらに翌朝、貸し切りバスに乗り継いでの長い旅となった。バスから眺める風景はとても日本ばなれしていて、見渡すかぎりの大平原、どこまでいっても小麦畑の丘の連続。まるでこちらがちっとも進んでいないかのような錯覚を受ける。

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その昔、はるばるモンゴルから、オッスマンの軍隊がやってきた。放牧された牛達でさえ、点にしか見えないこの大平原を。そんな大地の上を雲が雄大に流れている。その時の軍隊が、はるかに見えたような気がした。

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シルクロードの中継地であるキャラバンサライにも立ち寄った。遺跡なのに、往時の人々のコーランの響きや祈りや、らくだや家畜たちのざわめきややにおいが、うずまいているように感じた。不思議なリアリティのなかに、しばしことばを失った。

トルコの農家のつくりは、まことに絵になる。赤い屋根が、ポプラかサイプレス杉の間に見える。庭にはひまわりが咲いて、色鮮やか。

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 さて、いよいよカッパドキアに近づいた。わくわく。まず最初はオルタヒサール。

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 妖精の煙突とはうまく名前をつけたものだ。堅さの異なる火山岩が風化に耐えて残ったものだ。妖精がひとり、この煙突から飛び立っていくのが見えた気がした。
 ここらへんに住んでる子供達はみんな陽気でにぎやかに、われわれ異邦人のそばにやってきて、なにやら話しかけてくる。彼らが飼ってるロバについて何か言ってるらしかったので、全員ロバのまわりに立たせて、それをスケッチして作品をプレゼントした。そのスケッチを手渡した最年長とおぼしき少年は12才くらいだと思われたが、プカプカたばこを吸っていやがる。絵のなかの、たばこをくわえている少年のを指さして、「これがお前だ。」というように手振りで話すと、おおいによろこんでいた。愉快なひとときだった。それにしても、あの絵いまだに彼らの家宝として残っているかな。

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 カッパドキアを構成している岩は主に砂岩で、比較的柔らかいのでなかをくり抜いて、住居として使っているところもあった。またイスラムからの迫害をのがれるため、地下に教会や祈りの場を掘ったところもある。かっての食堂の一室の一番すわりごこちの良さそうなところになにげなくすわったら、そこはキリストの座席だったなどと、ガイドがうれしいことをおっしゃった。また、スケッチをしていたら、ヨーロッパ系の旅行者から「オウ、ピカソ」などと言われて、とっても気分が良かったです。

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 奇岩にたっぷり驚いたあとで、トルコ絨毯のお店に行った。そのときたまたまぼくの着ていたジーンズにシャツのいでたち、そして無精ヒゲが、あまりにそこの従業員のいでたちとそっくりだったので、従業員も含めて大笑いだった。一緒に撮った写真をみると、確かに、だれがほんとの従業員かわからないくらいだった。次いで、社長のチェティン・カイハン氏が、絨毯の歴史と女性の職人の大変さ(あまりにこまかな作業のため失明することも多いらしい)を詳しく説明してくれて涙が出そうになって、思わず、高価な絨毯を買ってしまいそうになって、ある意味やばい状況になりかかった。(その当時の私は、立派な優柔不断な人間でしたから。)

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 最後にアヴァノスというやきものの町を観光した。トルコのお皿はカラフルですてきだ。また、模様として、絨毯にも使われている、生命の樹というイメージがとっても好きだ。日本でも珍しくなった足けりろくろを、器用に回しながら、形成していたのでスケッチしました。

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