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旅スケッチ

06インド4

​驚きのインド

ヒムロー

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 アウランガバードでは、オートリクシャーヤハイヤーの運転手は、自分の乗せた観光客を、この地方の特産品である、ヒムローという絹織物の工房へ連れて行く。僕も合計5軒のお店をまわることとなった。今回撮った写真の中で、我ながら一番いいと思うのがこの写真。はたおり機と職人のじいさん。極細の絹糸で、こみいった模様を編む。なかなかの高級感と使い良さがあり、すばらしい。(畳1枚より大)仕上がるまでに10ヶ月かかるという。「テンマンス?」と、二度聞き返したほど驚いた。

ヒムロー

インドで感じる強烈な生命力のエナジー、これは究極的に言えば、いろんな生き物が(人間もここではこのなかのひとつでしかない)ごったになって生きている、ということ。道沿いに生きているものといえば、牛、水牛、馬、ろば、犬、にわとり、ぶた、やぎ。これら家畜類はほとんど野放し。文明からみれば不衛生なところも確かにある。だがこの生き生きした感じはすばらしいね。昔の日本もだいたいこうだった。さらに、テナガザル、りす、おうむ、そしてカメレオン。(カメレオンは木の枝から落ちてきたのであろうか、車にひかれていたのを見た)ちょっとびっくり。今回はゾウやらくだの本物には出会えませんでした。

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パニヤンの並木に住んでいる、テナガザル。

「無限」

 インドで何に一番驚いたかと言えば、そのキーワードは「無限」。オートバイの3人乗りはあたりまえ。5人乗りまで見た。しかも全員ヘルメットなし。女性はスカーフをなびかせて。これはだいたい一家です。まずハンドルのすぐ近く、燃料タンクの上に年少の子供。次にパパ。次に年中の子供。次にママ。一番後ろに年長の子供。日本でこんな乗り方してたら・・・想像するまでもなし。彼らは乗せられるものは何人でも何でも乗せてしまう。まさに「無限」。バイクの男二人の間に牛乳タンクのような物体を乗せていたかと思うと、生きたヤギを、後ろに乗った男が押さえている。男達の間にはさまれたヤギはこれから市場に売られていくのか、さらわれてきたのか、ときおり、バイクの上で、「めえめえ」うなっている。ああ、このヤギくんの運命やいかに。講談でもできそうな感じ。
 ムンバイでは黄色い屋根のインド国産車アンバサダーのタクシーがひっきりなしに走っている。メーターはついててもないも同然。こわれている(こわしている?)。このほうが利益上、運転手には好都合だ。僕も気をつけていたが、500円分余計にとられたことを、あとで知って、くやしかった。そのタクシー、人間はもちろん乗せられるだけ乗せることはもちろんですが、驚いたのは、その屋根の高さ10センチくらいのカートに載せているもの。旅行者のバッグ、インドのことだもの、ひもなど掛けて走るわけがない。よくあのがたがたのインド道を、落とさず走るもんだな、感心する。たしかにアンバサダーの車輪のサスペンションはすばらしい。のりごこちバツグンだ。(残念ながら、日本車は、あのインドのがたがた道では、快適とはいかなかった。)農作物(豆など)の袋、(山盛り)、何に使うのか50センチ四方の大きな木かなにかの箱4つ、(載せられるものは何でも載せちゃうインド人)、角材10本、(これほんとにタクシー?)などなど。いやはやすさまじい。(でも見方かえれば、日本人が狭い認識にとらわれて、物事の可能性をよう見んことなっているのかも。口では「無限の可能性に向かって」などと美しく叫んでも、インドの日常と比べれば、精神的にはかなり恥ずかしいくらい有限の世界に閉じこもっているのかもしれません。)(安全運転だけはゆずれませんが。)

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トランクも荷台も、めいっぱい活用してムンバイタクシーは、今日もぶっとばす。

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僕は今回一人旅だったので、乗っているのは当然運転手と僕だけ。同じ大きさのオートリクシャー(オート三輪車)に10人くらい乗っているのを見ることもこともしばしば。つめこめるだけつめこんで走れ、だ。まてよ、ふと思った。ギネス賞などあっさり通り越して、彼らは大変立派だ。ノーベル賞ものだ。こちらは同じ大きさの乗り物に二人。あちらは10人。どちらがもったいない事をしているんだろう。まいった。われわれ文明国的人間は、美しい標語や精神はいくつも知ってはいれど、まるで実行できていないではないか。
 それにしてもインドの風の中を、オートリクシャーは快適でした。庶民の暮らしは間近に見えるし、あたりの風景を眺めるにもほどよいスピード。狭い路地も、渋滞した大通りも田舎のがたがたの道も、うまい運転とこまわりの効くボディと三輪で、するする通り抜ける。いやあ、おもしろかったよ。貸し切りの運転手カリームの陽気な兄ユーナスによると、このオートリクシャー一台日本円で、25万円くらい。ひとつほしいなと思ったが、日本では乗れるんだろうか?

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運転席にすわってみた。

インド料理

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前回00年のインド旅行の際は、暑い盛りでもあったので、水の摂りすぎとカレーをやや頻繁に摂ったので、帰国間際はおなかの調子が下降線だったことを思い起こし、暴飲暴食を厳禁としたので、体調はまったくくずさずにすんだ。インド料理も実はそんなに食べていない。が、カイラーサホテルでの二度のインド食は、インド料理らしいインド料理でとてもおいしかった。豆のカレー、など3品から4品のカレーと、ナンのようなぱパン。
初めて食べてものでおいしかったのは、ムンバイで食べた、サモサ。香辛料で味付けした豆やじゃがいもを小麦粉の衣に包んで揚げたもの。こんなおいしい味、日本じゃ食べられない。インドの豊かさを感じる。

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インド人間スケッチ

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付録 ダウラターバード

 アウランガバードからエローラへ行く途中にダウラターバードという遺跡がある。そもそもバードと名のつくものはイスラムの街という意味であると、行きの飛行機の中で、ソーマさんが言っていた。そういえば、パキスタンの首都はイスラマバードだったな。さてこのダウラターバードという遺跡はいわば巨大な塀にかこまれた要塞であった。いまは観光地として一般人の入場ができるが、当時は堅固な城であったことは容易に察しがつく。

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入り口の門の巨大な扉には、30センチくらいの円錐形の銛が多数打ち付けられてある。これはゾウによる城門の破壊に対抗するものだそう。いやはやところかわれば戦いの形も変わる。また、この城の中腹には10メートルくらいの深さの濠があり、昔はここに凶暴なワニを生かせておいたそうな。いやはやところかわれば・・・。やや汗かいててっぺんまで登る。ここから見る青い空のもと、亜熱帯の風景が穏やかに広がっている。要塞は修復保全作業があちこちおこなわれており、石積み職人や、セメント用の水を頭に載せて運ぶサリー姿の女性が、カラフルで、目が洗われるよう。ここでも多くのインド人若者観光客に囲まれて、記念写真。ほんとになにゆえ、僕はこんなに人気があるのかな?。

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