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旅スケッチ

フランス3

 2006年5月23日から、29日まで、某大手旅行会社のツアーに参加してきました。長年の憧れの地、ヨーロッパ、フランス、パリの地面を踏んでまいりました。私なにぶんフランス初見者につき、スケッチポイントを短時間で確実にかつ効率よく巡るため、北フランス中心で、私の希望を満たしてくれるこのツアーを選んだのでした。結果的にはその希望を十分満たして帰ってきました。ありがとう、です。

 

 今回のレポートは、1,世界遺産巡り、

          2.オーヴェール日帰り一人旅(ボンジュール ムッシューゴッホ、セザンヌ)編、

          3.フランス雑感編、

 の3編で編集してみました。

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3、フランス雑感編(パリなど)

 パリといえば、やはりエッフェル塔でしょう。われわれが訪れた時は、あいにくの曇り空で、絵はがきによくある突き抜けるような青空の中のエッフェル塔、というわけにはいきませんでした。おまけにツアー旅行の宿命で、写真タイム(通常5~10分)の中でのスケッチとなりました(これは超忙しい)。次に、ノートルダム寺院。大勢の観光客が長い行列を作ってくださったおかげで、辛くも(笑)スケッチ(らしきもの)ができました。それにしてもさすがパリ。街角のどこを見ても、カラフル。配色が見事。同じ配色を探すのは、かなり困難なのに、どうしてどれもこれもこんなに美しいのか。(日本だと、こうはいかない。コンビニの配色は、すぐにどこの会社だと判別できて良いけれど。)画家としては、この理由を考えないわけにはいくまい。まず、ヨーロッパ平野、大きな山もないので、風の流れがさえぎられることもない。空気が澄んでいる。それで色が鮮やかに見える。よって、人間の視覚の、色を識別する能力も自然ときめこまかになる。あらゆる配色の美しい組み合わせの記憶を、DNAに蓄積している。さらに、多くの異民族の交流によって、その地方からもたらされた、美しい配色が多種多様に存在している。のではないか、と・・・。

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パリでは、ほんの少し郊外の、ラビレットのホテルに泊まった。客室の窓から見えるパリの街をスケッチしました。多くの画家が、描きたがる、パリの街の魅力とはなんなんだろうか、画家としては、この理由を考えないわけにはいくまい。まずカラフルであることは、上記の通り。さらに、ここの建物には変化がある(単調ではない。)日本の街だとなかなかこうはいかない(ビルは四角でコンクリート色。)パリでは、4,5階建ての建物にも屋根がついている。(そこには魅力的な屋根裏部屋という空間がある。)そして、その屋根に煙突がついていて、これが二つとして同じ大きさ、形のものがない(シャンポール城スケッチでは、365本もの多種多様な煙突に、あえなく打ち負かされてしまったが・・・)。飽きない。楽しい。街路樹も、よく手入れされている。樹と樹の間隔も、いい意味の理性的である。遠くに青い丘も見える。

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郵便ポスト
黄色いポストが、楽しい。が、近寄ってみると結構落書きがあります。郊外列車や地下鉄もそうでした。これはいただけません。また地面にはタバコのポイ捨てや、紙くず、かなり落ちています。これもいただけません。パリには多種多様の人種が集まってきていますし、いろんな人間がいるのですね、実感しました。きれいなばっかりのガイドブックには書いてない、見ることの出来ない、パリの真実が見えます。これはいい経験でした。(なんのこっちゃ?)

 エスカルゴほど、日本人の興味をそそるフランス料理はあるまい。かたつむりって食べられるの?これが、一般的なイメージでしょう。今回はじめて食しました。たこやき用のフライパンのような、6個のくぼみのあるステンレスのお皿に載ってやってきました。実物を見る前は、サザエよりは少し小さいくらいかなって思ってましたが、意外や、もっと小さい。長さ3センチくらい。日本でいえば、たにしを少し大きくしたような感じ。ブドウの葉を食べて大きくなるんだそう。ニンニク、パセリ、バターなどと一緒に焼く。これらの香りがおいしい。予想してたほど柔らかくなく、かといってサザエほど硬くもない。食べ頃の堅さ。おいしいね、これがみなさんの一致した意見。無事食べられて、よかったです。(笑)

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 モンサンミッシェルでは、オムレツを見ました。(もちろん食べました。おいしかったです。)ウェイターが大きなお皿(直径40センチくらいある)に直径30センチはあろうかという卵焼きのかたまり(実はこの卵焼きの表皮の下は泡です)を、4等分し、それぞれのお皿に盛ってくれる。これが上の絵。この巨大なオムレツが食堂内に運び込まれたときには、さすがにみんな歓声でした。泡には驚きました。ここまで泡を立てるには、熟練の技を要するらしいです。

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 フランスでは、たとえばエヴィアンやボルビックなどの水でも、買う場所によって値段が大きく違ってくる。大きなスーパーなどで買うとはるかに安い。そこで、宿泊地ごとにオーチャンなどのチェーン店へ繰り出す。ずらっと並んだ商品のラベルの美しいこと。特にくだものの加工系が・・・。どうしてこんなにもカラフル?と、思うくらい。どれも魅力的。中身の味は知らないが、こんなおいしそうなもの、買わなきゃ、という気持ちになってしまう。バナナジュースなるおいしそうなものがあると思って買ったのは右の缶。しかし、よく見ればANANAと書いてある。フランスでは、BANANAをANANAと書くのかなと思いながら、ラベルの絵をよく見ると、バナナのようにも見えるし、縦にスライスしたパイナップルのようにも見える。スケッチのあと飲んでみたら、パイナップルだった。

 さて、セザンヌファンの僕としては、画家が描いた現実の場所と、現実の物に興味津々。絵の魅力とその秘密の因果関係を確かめたいのでした。そこでやはりリンゴということです。季節がら、リンゴの盛りはすぎているはずと思いながら、スーパーオーチャン(オーチャンなどと、「ちゃん」が付くというと、王ちゃんなどと読み違えてしまいそうなほど、親しみを感じてしまうほど日本人にとっては覚えやすい。)で探すと、ありました。でもappleとは書いてないので、これは何かな、と疑ってみたりもしましたが、pommeがフランス語のりんごだったと気付きましたので、ひとつ買い求めました。日本のより、かなり小ぶりです。果物や野菜など生鮮食品は、山積みされてある中から自分で選んで自分で袋に入れて自分で計りに載せて自分でリンゴの品名ボタンを押して、出てくるラベルを自分で袋に貼って、レジに自分で持って行く(お、これは日本でもそうだった)。おーここまで個人責任主義が浸透しているか、と思うくらい自分でやります。このりんごのお値段0,30ユーロ(約45円。)それにしても、品物のフランス語表示を知らないと、百くらいある商品名ボタンの前で苦しみそう・・・。
 ところでこのりんご、味よりも前に、あのセザンヌが描いたやつと同じだという感激と興奮で、冷静に味を吟味する余裕など無く、ただひたすら感激してありがたく頂戴つかまつった。しいていえば、この味は、日本では食べたこと無い味。日本のりんごは、今ではほとんど例外なく赤くて甘くておいしい。ここのリンゴには、なんだか木になっている自然のまんま、木の実の味をあじわったような気がしました。食べられてよかったです。(笑)

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左の絵、ドイツ製クローネンブルグのビールですが、飲んだ時間と窓の外の景色に注目。時間は午後10時。日本なら当然深夜。高校生は外出禁止の時間です。ここフランスでは、窓の外の景色を、余裕でゆっくりスケッチできる明るさ。体を休めたいのにこの明るさは何だ?ちなみに朝は6時ころから明るくなります。昔、「ナポレオンは3時間しか眠らなかったんだ、君たちも時間を惜しんで勉強しろ」と、受験生は先生から言われたことを思い出した。でも、今、気づいた。なんだ、ナポレオンは眠らずにがんばったんじゃなくて、暗くならないか起きていただけだったのかも。きっと極上のワインでも飲みながら、夕食をたっぷり楽しんでいたにちがいない。

 いよいよ旅のレポートも大詰めです。フランス人についてです。今回、旅の形式上、多くのフランス人の男性(ホテルのフロント、ウェイター、パスポート審査官、運転手、道を教えてくれた近所のムッシューなど)にお世話になり、また、ふたことみことの会話をすることがあった。それらの中で、どれも皆おもしろかった。ムッシュー(フランス語でおじさんの意)は陽気で頼りがいがあって親切だし、時には冗談も交えておもしろおかしく楽しく人生を愛している、という感じで良かった。たとえば、ビールの栓抜きを借りにホテルのフロントへ。ビール持って栓を抜くかっこうして栓抜きを貸してください、と。そしたら、「メルシー」などと言って、ビールごと奥にもっていってしまいそうなふりするフロント係。(こちらがあわてるじゃないか。普通こんなことしますか、初対面ですよ。)出国の際のパスポート審査では、こむずかしい顔して、このパスポートじゃだめだ、ヒゲが問題だ(僕のパスポートの顔写真は5年前のもの。鼻の下にアラブ人のようなヒゲがある。今回の実顔はヒゲを剃った素の顔)と、鼻の下をなでる仕草をしながら首を横に振る。そんなことはない、パスポートの期限はもう5年ある、それは5年前の写真で、今回の旅では中国もフランス入国も問題なかった・・・と、あわてて必死に説明しかけると、急に、にやっと笑って「良し、もちろんじゃないか」という感じで・・・。なんだああ?冗談かよ。(こちらがあわてるじゃないか。普通こんなことしますか、初対面ですよ。出国審査の場でですよ。)でも気に入ったね。これは実は僕の感覚に合う。さて、マドモアゼルやマダムについて。世界遺産でのガイドさんたちはみな気品と知性と、女性としての自覚を持っておられて、感動的ですらありました。シャルトル大聖堂では、あと少しで赤ちゃんが生まれるというお腹の大きなマドモアゼルでした。(みんなでいっせいに日本語で、(国を超えて)、おめでとう、の拍手で盛り上がりました。)
 この国には、黒人や移民の占める割合も多く、社会のひずみを感じることもありましたが、自由、博愛、平等のスローガンが、前向きに進行していくことをも期待をもって感じています。

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 それにしても、フランスにこんなに緑が多いなんて思わなかった。なだらかな丘、麦畑、牛や羊の放牧・・・。北海道みたいだね、と誰かが言っていました。シャルル・ド・ゴール空港を飛び立って、眼下を見てみると、パッチワークのような豊かな大地が広がっていました。

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